「エミリー、どう?あなたのお眼鏡にはかなったかしら?」

そう言ってスタジオに入ってきたのはまどかさんと七海だった。

「まどかに…七海じゃない。どうしたの?」


「sabotageが世界に行けるか聞きに来たのよ」


「…合格よ。必ず世界で羽ばたかせるわ」

エミリーは自信満々の顔をしていた。


「ついに世界かぁ…おめでとうsabotage‼」

まどかさんの後ろから姿を現して、七海は屈託のない笑顔でそう言った。

「ありがとう七海ちゃん」


「俺達頑張るから‼」

蓮や馨は口々に七海に意気込みを語る。
俺は何も言えずにいた。


昨日の歌番組での七海の…enの歌はいつもと違った。
別れの歌だったが、聞いていて思ったことは「enはやっぱり上手いな…」だった。

それだけだった。


いつも聞いている人の気持ちを、思い出を引っ張りだして共感させるenの歌を聞いても、enが歌っている別れの歌を聞いても悲しくなんてならなかったんだ。

昨日のenは何かがおかしかった。