エミリーは元々用意してあったらしい大きな封筒を俺達に差し出してきた。

『これは…?』


『アルバムの中に収録される新曲の譜面。覚えてねー。期限は二週間』


「二週間!?」

真が目を見張る。
俺は昨日聞いていたから驚かなかったけど…普通はこういう反応だよな。

『真、英語』

エミリーがそう告げると真は慌てて

『すみません、つい…でもこの量を二週間って…』


『頑張って頂戴。それ以上は待てないの』


『でも…』

真がぐずっているとエミリーはため息をついて少し首を傾げた。


『これは言いたくなかったんだけど…』

髪を掻きあげて、向き直り


『私もこんな急ピッチになるなんて思ってなかったわ。でも予想以上にあなた達の成長に時間がかかってしまった』


…俺達は大きな衝撃を受けた。

何を浮かれていたんだろうか。まだ世界に立てる、やっとスタートラインなんだ。
enに勝ったわけではない。

「…真、俺らはやっと世界に通用できる、そのレベルになれたんだ。でもそこに行くまでの成長が遅かった。
…自業自得だな。きっついスケジュールだけど頑張ろうぜ。

何より、ファンが待ってる」


「…ああ、そうだな…」

ファンが待ってる、という一言で真の目が変わった。