『でも本当に…良かったの。
他のメンバー達もちゃんと練習してる?』
『してると思います。あいつらはやるときはやるから』
今は、世界進出へ向けて特訓を積んでいる時期。
メディアへの出演は控えていて、アルバムの歌を歌わせてもらう歌番組で、俺達の成長を見せつける…ということになっている。
なのであまりメンバーとは顔を合わせないけど…学校で見かけるあいつらは疲れていて、必死な感じがわかる。
『そう、ならいいわ。
あなた達のアルバムの曲ができたの。アルバム発表まで残り一カ月ちょっと…頑張ってね!!』
エミリーはとびっきりの笑顔を俺に向けてきた。
「…はぁっ!?」
『英語で会話よー』
エミリーはくるりと後ろを向いて、自分のバックへと向かった。
『一カ月って…短くないですか!?』
『やるときはやる…って今言ったじゃない』
エミリーはカバンから取り出した水筒で飲み物を飲みながら、心底意外、という顔をした。
…って、意外なのはこっちだよ!!
まさか製作期間がそんなに短いなんて…
『…エミリー、アルバムは何曲?』
『十二曲。そのうち五曲が新作』
『つまり…残り一カ月のうちに五曲分の歌詞とか楽譜とか覚えて…なおかつレコーディングも…』



