「彼らが、あなたの期待の星?」

社長室に残ったエミリーがまどかにそう尋ねる。

「ええ」


「でもあと二カ月で世界に…なんて早すぎないかしら?もう少し様子を見てもいいと思うけれど」


「エミリー、あなたの目に、あの子たちは世界で失敗するように映った?」

まどかは椅子に座り、頬杖をつく。

「これからの特訓でどうなるかは変わるでしょうね。

でも不思議と、今のまま世界に出しても失敗するとは言い切れない。だから私は…」


「あえて『一時の人になる』って言ったんでしょう?」

まどかはにやにやと笑っている。

「あなたがそう言ってくれてよかったわ。私の勘違いなんかじゃなかった。あの子達は…sabotageは世界でも活動できる。そう確信できた」


「……それにしてもまどか、焦りすぎじゃない?あなたの事務所にはenだっているんだし…」

エミリーは社長の机の前にあるソファーに腰かけた。

「そのenが…彼らを早く世界に出せと言ったのよ」


「…どういうこと?七海は…enは何を考えてるの?」

エミリーの眉間に自然としわが寄る。

「そっか、エミリーはenと直接会ってたわね」

まどかは笑いながら椅子を回転させ、エミリーに背を向ける。


「…教えてまどか。enは何を考えているの?」


「ごめんなさいエミリー、これだけは言えないの。あなたの口の堅さは信用しているんだけど、これだけは…」

まどかの声は、少し涙ぐんでいた。



―sabotage、世界デビューまであと二カ月