まどかさんがそう言うと、エミリーは大きく頷いてから、金髪のロングヘアーを一つに結んだ。


「あなた達の演奏は聞かせてもらったわ。

はっきり言いましょう。もし今の状態でアメリカに来るなら、一時の人になるでしょうね。確実に」

エミリーの言葉は、俺の頭に大きな衝撃を与えた。


「あなた達の演奏は悪くない。むしろ良い。

けどインパクトがないのよね…極端に言うならつまらないわ。それは今までの作曲者が悪いんだろうけれど…

私の知り合いの作曲者に楽曲提供してもらおうと思ってるんだけど、その人の曲は今のあなた達じゃあ演奏できない。


しようとしても体が持たないわ」


まどかさんは黙って聞いている。

ちらりと真の顔を盗み見ると、少し青ざめていた。

無理もない。俺だって耳が痛かった。


「ともかく、世界に出たいと言うのなら練習量を増やして。筋肉痛で眠れなくなるくらいドラムを叩いて、指紋が消えてしまうくらいギターとベースも練習しなさい。

OK?」


「「「…はいっ‼」」」


「良い返事ね。もし言葉を濁したり、言い訳するようなら、私はこの話を断るつもりだったわ」

エミリーが笑いながらそんな恐ろしいことを告げる。

蓮達の返事次第で、この話が白紙になるかどうかだったとは…


「ボーカル。ボーカルは…あなた?」


「はい」

エミリーが俺に問いかけてきたので、俺は一歩前に出て答える。


「あなたは、技術とかはばっちり。どこに行っても通用するわ。


…技術だけなら、ね」

エミリーは俺の顔を見つめる。

まるで、足りないものは何かわかる?と聞いているかのようだ。