「反抗期かしらね…」

まどかさんがぽつりとつぶやいた。


「那智、頭を上げなさい」

言われたとおりにすると、まどかさんの顔が目に飛び込んできた。

険しい顔をしている。

…と思った途端、口角が上がり


「あんたがそこまで頼むのも珍しいから…許可しましょう」

まどかさんは、そう言った。


「え…マジで?」


「マジで」


「取り消し禁止だよ?」


「しないわよ、取り消しなんて」

まどかさんは苦笑いを浮かべた。

世界に…いける‼


「とりあえず、アメリカの知り合いの業界人に連絡を取るわ。詳しく決まったら呼びだすから待ってなさい。

あと、世界に行くって決まったからって、日本での仕事で手を抜いたら即刻解雇するからね」

まどかさんはキッと俺を睨んできた。


「抜かない抜かない‼サンキューまどかさん‼」


「言葉遣い」


「抜きません‼ありがとうございますまどかさん‼」