「世界は、厳しい。

いくら日本で人気があっても、世界に進出した途端にこけるアーティストだっているの。
…最悪、消えるわ。

それでも出たいの?もっと日本で実力をつけてからでも…」


「…sabotageには、世界にいける実力は無い?」

俺には、まどかさんがそう言っているように聞こえた。

「そんなことは無い‼でも…でも私は、自分の事務所にいるアーティストが消えてしまうなんて嫌なの。

しかもsabotageには期待してる。焦って世界に出て失敗してしまったら、それはとってももったいないことなの」


「…まどかさんは、sabotageを評価してくれてるんだね」


「そうよ。だから大切にしたいの」

そう言うまどかさんの目は、真剣そのものだった。

その気持ちを聞いた俺の胸には、込み上げてくるものがあった。


でも…

「まどかさんのその気持ちは嬉しいけど…俺達は世界に行きたいんだ。

世界に行って……enと戦いたい。enと戦うなんて、夢のまた夢の話だけど、俺達はその場所を目指すんだ。

昨日、皆で話し合った結果だ」


「………」


「挑戦させてください。お願いします」

俺は立ち上がって、頭を下げた。


沈黙が続く。