「ほんとに…あんた達のファンサービス精神には頭が下がるわ。そんなにファンサービスするアーティストも珍しいし…」
「ファンのお陰で活動できてるからな」
それに、俺達には売れない時代があった。
その時支えてくれたのは、マネージャーやまどかさんでもあるけど…一番心強かったのはファンからの手紙だ。
その手紙の量が次第に増えていったのは、素直に嬉しかった。
ファンが手紙で俺達を支えてくれたように、俺達は歌で、活動で、さっきみたいな言葉で、ファンを支えたい。
「サービス精神が旺盛なのは良いことだけど、倒れたりしないでね。それこそ本末転倒だから」
マネージャーらしい言葉が投げられたところで、俺の自宅に着いた。
「はい、那智お疲れ様」
「お疲れ様でしたー」
「あ、俺も降りる」
そう言って車を降りたのは蓮だった。
蓮は俺の家から徒歩五分
そんな近い距離で育ったから小さい頃からいつも一緒で…
いわゆる幼なじみだ。
「あらそう?じゃあ蓮も那智もおやすみ。ちゃんと寝るのよー」
そう言ってマネージャーは真と馨を乗せた車を出した。



