「さっき、プロデューサーさんに挨拶行ってくるって…」
「ありがたい」
この世界は、厳しい。
いくら売れてても、事務所的にはタレントを使ってもらうという姿勢だ。
だから再び使ってもらえるよう、マネージャーは頭を下げなくてはならない。
「でも、それがマネージャーの仕事だから!!」
七海は笑顔を浮かべた。
「ところで皆は、明日学校来るの?」
「うん。出席日数がね…」
「まどかさんにごまかしてって頼んでみたら?」
「いや、さすがに校長のまどかさんでもそれは難しいだろうから…」
そう。
まどかさんは、七海の母親、事務所の社長という役目以外に、俺達が通う学校の校長も務めている。
また、学校は芸能科、マネージメント科、プロデュース科…と、いずれも業界に役立つ学科が揃っている。それらの校舎は別れていて、許可証が無いと、行き来することもできない。
ちなみに、俺達sabotageは芸能科で、七海はマネージメント科だ。
「明日は来るのか…。じゃああまり芸能科からは出ないようにね。騒動になるから」
「はいはい」
荷物をまとめて出て行こうとするとき、楽屋の扉が開いて、俺達の本当のマネージャーが現れた。



