「先生にも青春はあったんですよね?」 「たぶんな」 「たぶんって」 「じぶんの青春がなんだったのかなんて、年をとらないとわからないもんさ。青春は常に過去形でしか語られないしな」 遠い目をしながら言う。 「若さの特権は若いうちにはわかんないからな。もったいないとおもうけど、俺も大人からはいわれてきたんだろうし、そういうもんなんだろう」 「でも、年をとらないと見えない世界もありますよね。僕は大人の方がうらやましいですよ」