「花火綺麗だったね、楓。」

花火が全て終わって、楓は大和くんと2階から下りてきた。

「うん。」

楓の笑顔を見ると、2人はちゃんと付き合えるようになったのだと分かった。

恥ずかしそうに視線を泳がす楓に微笑ましい気持ちになる。

「大和くんの家で見られて良かったね。」

「う、うん。」

耳まで真っ赤にした楓は縁側に視線を動かし、スイカを頬張る大和くんを見つめた。


私はその大和くんの隣で大口を上げてスイカにかぶりつく成田を見る。

口の周りが汚れることなんて全く気にしていない様子で、右頬にスイカの種をつけている成田。

小さい子どもじゃないんだから…


成田みたいな男子を好きになるなんて思ってもみなかった。

暑いからといって、グラウンドの水道で頭を洗っちゃう奴なんか…。

子どもっぽくて落ち着きがなくて、バカみたいなことをすごく楽しそうにしてる成田なんか、恋愛対象として見てなかった…はずなのに。