「俺トイレ。」

そろそろクライマックスかなって時に眞人が立ちあがった。

これからが一番盛り上がる所なのにもったいないなぁって思いながら眞人の背中を目で追った。


「そういや、上静かだな。」

成田がぽつりと言った。

成田の方に向き直る。

「あの2人がバカ騒ぎするわけないじゃない。」

静かに、それはそれは穏やかに花火を見ていると思う。


「そうじゃなくてさ。大和の部屋に2人きりなんだぜ?」

ニヤリと笑う成田はきっとあらぬ想像をしていると思う。

「あの純情な2人に限ってそんなことないわよ。」

大和くんはそんなに簡単に楓に手を出したりしない。

「俺だったら、好きな奴と2人きりだったら花火なんてどうでもよくなっちまうな。」


2人きり…

一応今だって、いつ眞人が戻ってくるか分からないけど"2人きり"の状況なわけで…

考えたら急に緊張してしまう。