あー、さっぱりしたー!


水浴びした後の犬みたいに頭をブルブルと振り、水気を飛ばす剛。


もう…。

「はい、これ。」

鞄に入れておいたタオルを手渡すとキョトンとした顔になる。

その顔が思いの外、可愛い。

「良いのか?」


「髪濡れたままだったら風邪引くわよ。」

まだ暑い時期といえど、そろそろ夕方には涼しくなる頃。

「それに、濡れた髪のままで隣歩かれたくない。」

なんて可愛くない言葉をつけ加えてみる。

「そっか、サンキュー。」

素直になれない私に対して、剛はこうやって素直に感情を表現するからドキドキする。


「じゃあ、帰るか。」

「うん。」

どちらかともなく手を繋ぐ。

「手汗すごい。」

「………緊張してんだよ。」

真っ赤になったその頬に、キスをした。

「……っ!」


そんなとこも、好き。

---fin.---