部屋に連れられるとその中には二十人ぐらいの侍女達がいた。
侍女達は恭しく一斉に頭を下げた。
その行動にイヴは慣れずに困ったように眉を下げて顔を上げてもらうように頼む。
それにフィリアは何も言わないでただ眺めるだけだったが侍女達はざわざわとざわめき困惑したようにイヴを見据える。

「私は自分が偉くなったとは思いません。皆さんと同じ様に扱って下さい。友人だと思っていただいても構いません」

イヴの衝撃的な言葉に侍女達は唖然としたがその中でも比較的若い侍女がおずおずと手を挙げる。
妃に意見するときは妃の機嫌を損ねないよう気を付けなくては自分の家や自分自身が危険に曝される。

「あの、イヴ様、私達は侍女です。イヴ様とは位が違います」

「私は気にしません。だから貴女も気になさらないで。私は小さな村出の者だもの位なんてこの妃の中でも一番下だわ」

イヴの言葉にさらに唖然とする。
妃がそんな事では王の力が疑われてしまいかねない。
今の今まで黙っていたフィリアが口を開く。

「イヴ様、侍女と友人ということは絶対に無理です。そんな事では王の力が疑われてしまいます」

フィリアに注意されればイヴは困ったように眉を下げて笑みを浮かべた。