翌朝、フィリアが起こしに来てくれても体の怠さから起き上がれずにいた。
泣きたいのに泣けなくてフィリアの冷たい手が額に当てられるとフィリアが顔色を変えるぐらい熱を出していたのだと気が付いた。

「誰か医者を!姫様が熱を出されたわ!!」

フィリアの叫ぶ声が遠くなりそのまま眠りについたのだった。
次に目を覚ましたのはお昼になってからだった。
フィリアが心配そうに看病してくれているのが分かり眉を下げて有り難うと告げると泣かれてしまった。

「熱を出されたのでしたらすぐにベルを鳴らして下さい!姫様の体はもう王のモノでもあるんですよ!?」

「……ごめんなさい」

フィリアに言われた言葉に胸がつきりと痛んだ。
昨日無理矢理抱かれたことを思い出して涙が溢れそうになったがフィリアからしたら主が王に抱かれたことは誇りに思えることなのだから、悲しむことさえおかしいのだ。
でも、イヴの心にはヒルトがいてヒルト以外に抱かれたという事実はただただ辛いものでしか無かったのだった。