暫くフルーナ姫と話しているとあることが分かった。
フルーナ姫はどうやら美しい女性がとても大好きらしく自国では各貴族の美姫達を集まらせてサロンを開いているらしい。

「いつか、イヴ様も私(ワタクシ)のサロンにいらして下さいね」

にっこりと笑みを浮かべて告げられた言葉に曖昧に頷き、フルーナがクラウドと話し出すと疲れたように息を吐き出した。
フィリアはそれにいち早く気が付きイヴの体調が悪いのが分かるとすぐにクラウドに退出する旨を伝えるとそこで漸くクラウドはイヴの顔色の悪さに気が付きすぐさま桜ノ宮に連れて帰るようにとフィリアに命じた。

「さ、イヴ様。参りましょう」

「え、ええ……。それではフルーナ様、申し訳ありません」

「いいえ、ゆっくりと体を休めて下さいませ」

心配そうにこちらを見るフルーナに申し訳なくなるもこの場を離れられるならばそれだけでよかった。
フィリアに連れられ他の侍女に支えられながらゆっくりと桜ノ宮に辿り着いたイヴはすぐに自室に入り、寝室である奥のドアを開けドレスから気軽な寝間着へと着替えさせてもらいベッドに入る。

「……ヒルト」

天井の桜の女神の絵を見ながらぽつりと呟く。
昔から精神状態に影響されやすく体の弱かったイヴの傍にはヒルトがおり、いつもイヴの看病をしてくれていた。

「会いたい、会いたいよ……」

心細さから涙を流し、ヒルトに会いたいと繰り返すうちに泣き疲れたのか体調不良もありそのまま眠りへとついてしまった。