今まで盛大なパーティーや宴は王の配慮なのか一度も参加しなくてもいいとされていたのだ。
その為、他の貴族や妃、そして王にも会うことはなかったために王の顔さえも知らなかった。
そんな自分をルートが良く思っていないのを分かっていたしそれに自分はルートと関わりを持つことは無いんだと思っていたのに。
そんな風に考えていても足は動いていて聖蘭ノ宮に着いてしまう。
中に入ると客間へと通される。
煌びやかさに毎回圧倒されてしまうが今回ばかりは圧倒されているわけにはいかない。

「お待たせしてすみませんイヴ様。今日は呼ばれた理由……分かっていらっしゃいますよね?」

入ってくるなりにっこりと笑みを浮かべているがその口調はやはり刺のあるものでしかなくてイヴは小さく頷くしかなかった。
ルートはそんなイヴの全身を舐めるように見ながら内心では気に入らなかった。
到底イヴが手に入れるような事が出来ないであろう髪飾りやドレスにあの噂が本当であることを知らしめられるようだったが今はそんなことは関係無いと頭を振る。

「三日後に迫ったパーティーは妾妃全員が出席するよう命令が下っております。何故か王の隣でフルーナ姫を迎える役目にイヴ様が指名されました」

「え……?私が、ですか?」

ルートの言葉が信じられないとばかりに目を見開く。
本来ならば王の隣は正妃のものであり今、正妃がいない状況であれその役目はルートに与えられるのが当たり前なのだ。
それを何故自分のような者にとイヴはまだ見ぬ王の意向が分からずに戸惑いを見せた。