クラウドと初めて会った日から数日。
クラウドは毎日のように中庭にやって来てはイヴと話をするようになった。
イヴもまた味方のいるのかいないのか分からない後宮生活の中でクラウドとの話は心の安らぎにもなっていた。
だが、そんな中イヴはルートに呼ばれていた。
ルートや他の妃とも関わりを持たないようにしていたイヴは何故自分がルートに呼ばれるのか訳が分からずに一度も桜ノ宮に訪れない王から贈られた煌びやかなドレスを纏いサファイアのイヤリングに真珠の首飾りとルビーにダイヤを盛大に使いながらも控えめな髪飾りで髪を結い上げてもらいソフィアとその他数名の侍女を連れて桜ノ宮を出た。
ルートの宮に行くまでには梅花ノ宮、紅蓮ノ宮、撫子ノ宮があり、他の妃達に会わないかビクビクしていたが何とか会わずに聖蘭ノ宮までやってこれた。

「……何度来ても慣れないわ」

桜ノ宮とは違い、煌びやか過ぎて目眩がしてしまいそうになる。
イヴは案内人として出てきた侍女に着いていきながら今日呼ばれた理由を必死に考えていた。
このところ後宮も王宮も急遽やって来る隣国の第一皇女である、フルーナ姫を迎え入れる準備に追われている。
姫君を迎えるパーティーも行われるのは最早三日後に迫っており各宮では仕立て屋を呼び寄せドレスを新調しているぐらいだ。

「まさか……そのパーティーの事?」