私は、欲張りで飽きっぽくて、寂しがり屋なあの人を、ずっと傍で守る事を決めた。
 人を恋しがり、寂しいと泣いたあの人の傍に、ずっと居る事を決めた。
 力以外、何一つ持たない彼に、私が出来る全てを捧げる事を決めた。



 「啓一郎様」
 私は、愛しい人の名前を呼んだ。
 書類に目を通していた彼が、顔を上げる。
 「お茶を持って参りました」
 「ありがとう。少し、休憩しようか?」
 仕事にかかりきりで、私に構っていない事に、気が引けたのか、彼は仕事を中断しようとした。
 「いいえ、大丈夫ですから、お仕事を続けて下さいませ」
 私を気遣わせる訳にはいかない。
 私は、私の勝手でこの人の世話をしているのだから。私が居る事で、予定を狂わせる訳にはいかないのだ。
 「・・・そう?それじゃあ、もう少し待っててくれる?」
 彼の不安気な瞳に、私は笑顔で頷いた。
 すると嬉しそうに、ふわりと笑って見せる彼が、愛しくて堪らない。
 「それでは、失礼致します」
 「あ、そうだ」
 部屋を出ようとしたら、不意に声を掛けられた。