俺は静かに寝室の扉を開けて、中に入った。



小さな間接照明の光を頼りに、ベットに歩み寄る。


美古は寝息を立てて、熟睡。



俺は美古のそばに、浅く腰を下ろし、彼女の寝顔を見つめた。


社交辞令にように『子供はまだか?』と訊く連中。



結婚すれば当然のように子供ができると思う周囲の思い込みは、時として残酷だ。




笑って、誤魔化してはいたが、本音は焦りでいっぱい、強いプレッシャーを感じていた。








俺以上に、美古はプレッシャー感じていたんだな。





俺は愛しげに、美古の髪をそっと撫でた。