「だから・・・もう暫く…休暇を」



「それは却下!!千愛ちゃんを社内の保育ルームに預けてでも、仕事はして貰うぞ!!栗原」



俺の言葉に栗原は鳩が豆鉄砲食らったような顔になった。


「承知しました…」


「洋貴さん…私、大丈夫よ…千愛の世話はするわよ」


「私も居るし…」


杏里ちゃんの言葉に、美古の助け船にも栗原は耳を貸さなかった。


「俺も千愛の父親として、育児と仕事を立派にこなしたいんだ」


「・・・」


栗原の過去を見れば、とんでもない男。

なのに、父親になった途端、人が変わったように善人になった。


過剰なくらい千愛ちゃんには愛情を注ぐ。


栗原は施設育ち。


十分に親の愛情をもらえなかった過去が影響してるんだろう。


俺には親がいたが、二人して、学校の点数しか見ず、俺自身を見てくれなかった。兄貴と常に比べられて、愛情にも格差があった。