「濱部社長には問題はありません…」



「私に原因あるんですか?」


槇村医師のその言葉で、美古の表情が暗く翳り、自嘲的に唇を噛み締めた。


俺はそっと、美古の手に手を重ねる。



「前回の中絶手術…随分と乱暴な処置だったようね…自覚症状はあったでしょ?」


「もともと、生理は不規則だったし…量だって・・・」



「病名は『アッシャーマン症候群』…流産や人口妊娠中絶の手術の際に、乱暴な操作で処置され、子宮内膜は傷つき、子宮壁が癒着してしまい、卵子の着床を妨げてしまうの。あなたの癒着はそれほど、ひどくないから…手術すれば、妊娠だって出来るから安心して…気長に共に頑張りましょう」



槇村医師の優しい言葉で、翳っていた美古の口許に、笑みが戻った。