「ごめん……、お願い、泣くなよ…!」




泣くあたしに、一樹君は震えながら強く抱きしめてくれた。




それを抱きしめ返すことは、…出来なかった。




あたしはもう、放心状態になっていた。




元カレに、無理矢理……。




そう考えただけで、怖くなった。




ねえ悠希君、ごめんね。




あたし、少し汚くなったの。




前みたいな価値観、ないよ。




ただの、嫌なヤツなんだよ……。




一樹君の家を無言で出て行く。




【悠希君】




から、不在が何度も入っていた。




あたしは、泣きたいのを我慢して電話をかけてみた。