近くの椅子に、一樹君のお母さんと向かい合わせに座る。




「……あの」



「祐希奈ちゃん……あのね」



「はい」




顔色を悪くしながら、ゆっくり話してくれた。




「一樹…が、声帯麻痺なのって、事故の原因でしょ。それって、……祐希奈ちゃんをかばったから?」



「……そう、です」



「ごめんなさい……。私達ね、祐希奈ちゃんのせいじゃないって、分かってるの」




あぁ、なんとなく想像はつく。




ただ、聞きたくなかった。




「けど……、辛いの。祐希奈ちゃんの顔を見るのも、辛くなってくるの……」