美嘉ちゃんは、するりとあたしの手を離し、一直線に走っていく。




それをたどるように見ていくと、一人の男の人がいた。




「あのお姉ちゃんが一緒だったの!」




あたしは、足を止めた。




「どこにいんの?」



「こっちこっち!」




美嘉ちゃんは、お兄ちゃんらしき人の手をとりこっちにくる。




胸の鼓動が、速まる。




「……男?」



「ううん、祐希奈ちゃん!」



「ゆ、きな……?」




一樹君の、声だった。




下を向き、下唇を噛んだ。