「御手洗さーん。

 お入りください。」

医者に呼ばれた。
「検査データが

 以前に比べ

 悪くなってますね。

 最近調子

 悪いかな?

 最近、病魔が

 落ち着いてきたなー

 って思ってたところなんですがね…。

 進行が

 急激に進んできています。

 ストレスは

 与えないようにしてますか?

 なるべく自由に、

 気ままな日常生活ができるように

 支えていってあげてください。」

医師からの説明は

少し

プレッシャーを感じた。

今でも

十分気を使って

無理なくさせてたつもり

なんだけどな…。

純一は

これからどう接したらいいのか

分からなくなっていた。

自分の関わりひとつで

有喜の病気を

悪化させたり、

遅らせたりするのか

と思うと

責任重大なことを

改めて思い知らされ、

プレッシャーに

押しつぶされそうになっていた。

そんな純一を見て、

有喜が

そっと手を握った。

「純一すごく辛そう…。

 たまには

 私も頼ってね。

 二人でひとつだよ。」

その言葉を聴き、

純一は思わず

こらえていた涙が

溢れてきた。

「ありがとう。

 ありがとう。

 ありがとう…。」

言葉数は少なかったが

二人の気持ちは

言葉では言い表せないほど

大きなものだった。

純一は

有喜を精一杯

支えているつもりだったが、

自分自身も

有喜に大きく

支えられている事に

気づかされた。

人は一人じゃ

生きていけない…。

有喜があってこその

俺だ。

もっと夫婦として

お互いを支えあって

生きていこう。

自分たちらしく

行けばいいんだ。

純一は

心に決めた。

帰りの純一の背中は

いつもより

男らしく見えた。