「ありがとう。

 純一が

 そこまで思ってくれてるとは

 思わなかったから嬉しい!」

そう言い、

有喜は純一からのプロポーズを

受け入れた。

結婚式は

有喜の変わり果てた姿を

以前の同僚には見せたくない

と言う事から、

身内だけで

質素に執り行った。

想い出に残るように

ビデオと写真を

一杯撮っておいた。

有喜の顔には

今までにないくらい

幸せそうな笑顔が

写っていた。

純一は

その笑顔が見られただけで

幸せだった。

有喜を

愛おしいと

心からそう感じた。

結婚生活は

毎日が楽しく

幸せだった。

純一は

仕事が終わると、

真っ直ぐ家に帰り、

有喜との時間を

大切にした。

遅くなる日は

すぐに電話を入れ、

心配かけないよう

心がけた。

有喜は

毎日料理を

作った。

料理を毎日する事で

少しでも、

手先と頭を使い

アルツハイマーの進行の

妨げにでもなればと思い、

一生懸命頑張った。

家事をこなす事が

有喜にとっては

良いリハビリとなり、

有喜の進行は

感じられなかった。