『ぴっ、ぴっ、ぴっ…』

病室に

有喜の心電図が鳴り響いている。

幸い深い傷ではなかったため

命には別状はなかった。

純一は有喜の手を握りしめ、

自分が仕事に行ってしまった事を

後悔していた。
 
「純一…?」

有喜は目を覚ました。
 
「有喜!」

純一は涙を流して

有喜を抱きしめた。
 
「ごめんな…。

 ごめんな…。」

純一は謝り続けた。

有喜は

キョトン

とした顔をしていた。
 
「何がごめんなの?

 どうしたの?

 私、何で病院にいるの?

 手も、ほら…

 包帯巻かれてる!

 どうしたんだろうね?」

有喜はショックのあまり

何も覚えていない様子だった。 
 

「何も

 覚えてないのか?」

純一は有喜にそっと尋ね、

記憶力の低下している有喜を

少し感謝した自分がいた。
 
「有喜は俺と2人で、

 旅行に行ってたんだよ。

 散歩中、こけちゃって

 手首を岩にぶつけたら

 切れて血が吹き出てきたんだよ。

 それで病院に来てるんだ。

 一時して落ち着いたら

 直ぐにでも帰ろうな。

 今日は俺がずっと

 側にいるよ。」

そう言い優しく微笑んでいる純一だが、

純一の顔は少し引きつっていた。