「この前私に会った事を

 忘れていたんです。

 それは痴呆ではないんですか?」
 
医師は

「詳しく断定出来ませんが、

 多分有喜さんは

 あなたに会えない事が

 よっぽど辛くて、

 鬱状態から

 痴呆という症状を

 招いてしまったのでしょう。

 これから普段生活をしていく上では、

 自分の病気も受け入れる事が出来たので、

 そんなに痴呆症状が

 現れると言う事は

 多くないと思います。

 しかし、この病気は

 情緒不安定になりやすい

 と言う事を頭に入れておいて

 くださいね!

 一人にさせるんだったら、

 病院にいるのとは


 あまり変わらないと言う事を

 頭に置いておいてください。

 あまり寂しさや

 不安な心情にさせると、

 病状は進行していきますよ。」

そう告げ医師は、

次の診察室へ向かった。

看護師が2人に声をかける。
 
「何か異変が起こったら

 すぐに知らせてください。

 それは病状の進行の

 シグナルかもしれないので…。

 みんなで支えてあげましょうね。

 有喜さん、

 きっと頑張ってくれますよ。」

看護師のちょっとした言葉に

2人はまた、

支えられた。