純一は

有喜の前向きな思いを知り、

嬉しくなり部屋へ飛び入った。

そこには有喜の笑顔があった。
 
純一は

有喜の胸元へ飛び込み、

「有喜!

 ありがとう。

 ほんとありがとう…。」

そう言い、涙した。

純一は

有喜が現実を受け入れてくれた事が

本当に嬉しかった。
 
「これからは

 俺が責任持って

 有喜を支えるからな!」

2人は

病というハンディーを背負った事で、

初めて

心が通じる事が出来た気がした。

病院のベットの中で、

2人は幸せな時を過ごした。

2人の愛は久しぶりに燃えさかり、

今日と言う日が

2人の記念に残る

1ページに刻まれたことだろう。
 
次の日、

医師の診察があり、

有喜の母親と純一は呼ばれた。
 
医師は
「御手洗さんの病状は

 今は落ち着いています。

 病院にいるより、

 家にいた方が

 進行の遅れにもつながります。

 もういつでも退院していいですよ。」
 
有喜の母親も、純一も

とても嬉しかった。

一人で居る病室は

寂しくて暗くて、

病人じゃなくても

気が狂いそうになってしまう。

2人共決断はすぐだった。
 
「じゃあ、

 明日迎えに来ます。

 ところで、

 今の病状は

 どの程度進行しているんですか?」

純一は尋ねた。
 
「まだ、

 鬱状態や不安や寂しさの

 訴えが多く、

 痴呆の症状はほとんどないですよ。」

と、医師はまだ

発病初期だという。

純一は気になっていた事を

聞いた。