だから、急いじゃいけないんだよね。

どうしても、越えられない何かが、きっとあったんだろうけど、

その先に、もっと凄いモノ、見つけられたかもしれないのにね。」


あたしは、それを聞いて、ちょっと前の自分に言った。


ちょっと前、(もう限界)越えれそうにない痛みの中にいたあたし。

けれど、それをクリアした事によって

今を楽しんでいる。

無理して、言い聞かせたり、
痛みを誤魔化したりせずに

クレヨンで書いたような、
心から笑ったり、
はしゃいだり、

純粋に感じるままにいれる『今』のページを開くことが出来た。

よかったね!って、

あたしはあたしに思った。

善は善で、

自分の声を自分に吸い込んで、

考え、頷き、

しているようだった。


一瞬の沈黙。


それぞれに感傷に浸った後

善は、流れを変えたかったのか、

魔法が切れてしまったのか、

「動かないと、ブルブルするなぁ」

と、言いながら、
言い切る前に、動き出した。

左右の腕を交差させ、肘から上をさすりながら、立ち上がり、

さっきまで、
ベンチにしていた丸太を、
今度はアスレチック遊具にして、その上を歩き、


丸太の隣に並んだ、

それより小さな木に飛び移った。