一途愛

家がもっともっと遠かったらなって…
龍の冷たい手を温めてあげたい。

「んじゃな。」

「ありがとう。学校では
絶対に普通にしていてね。」何度も念を押していた。

「普通にしてればいいんだろ?」

「うん普通にしてて。」

「明日も家に来るか?」

「行ってもいいの?」

「いいよ。」

嬉しくて飛びあがりそうだった。
また…キスしたり ふざけ合ったり……
甘い時間を過ごせるんだ……。

「ばいば~~い!!」私が言うと龍がふり向いて手を振った。

なかなか歩き出せない私は
ずっとずっと龍が小さくなるまで見ている。

もう一回 大きな声で
「ばいば~~~い!!!!」と叫んだら

龍がふり向いてまた手を振ってくれた。

やっと家に向かって歩き出そうと背中を向けたら
後から荒い息が近づいてきて
私を背中から抱きしめる。

「キャ…」

「家の前まで送るから…ハァ…ハァ…。
気になっておいておけないだろ。」

私は首のところにある龍の冷たい手を
温めるように包み込んだ。


「龍……大好きだよ……。」

素直になって…初めて伝える言葉だった。

「俺も……。」

幸せすぎて…怖いよ…私……。