一途愛

龍の家から手をつないで歩いた。

数日前の私の境遇からは想像もつかない
展開にまだ夢を見てるようだった。

他人 それも男の人と会話をするのも 初めてで
そしてファーストキスをして…手をつないで歩いている。

大きくて冷たい手

「姫の手あったかいな。」

「デブだから…。」

「そういう意味じゃないけどな。」

「あのね…姫って名前好きじゃないの。
恥ずかしいから…そんな顔してないってよく
バカにされたし ふり向いて笑いこらえられたりしたし。」

「せっかく可愛い名前なのにな。」

「可愛い人だったら問題はなかったの。」

「卑屈だな~~。筋金入りだな。」

「そうだよ私なんて一緒にいたって楽しくないから。
卑屈だしあまのじゃくだし…可愛くないしデブだし。」

「治療が足りないようだな。
ここでキスしてもいいのか?」

「あ…ダメダメ絶対にダメだから!!!」

本当は…キスしたい……なんて
言えるわけない…。


「あまのじゃくだからな~~。」

そういうと道のど真ん中で素早くキスをした。

「あ~~~あ~~もう~~~ダメだって!!」

私は辺りを恐る恐るきょろきょろした。

「挙動不審だな~~。」龍が笑った。


私も笑った。
キス……龍とするキスは気持ちがいいよ。
一度すると魔法がかかる気がするの。

龍をもっともっと好きになる魔法……。