一途愛

「すわって。」

背中ごしに 宗方が着替えてるのを感じて
さらにドキドキしてきた。

「顔 痛いだろう。あれはひどかったな~~。
俺でも失神してた。」

「慣れてますから。でも失神は初めてです。
多分かなりいらついてたんでしょうけど……。」

「慣れて……って。
おまえいっつもああやって標的なのか?」

「だから先に当ててもらうんです。」

宗方が私の正面に回りこんできて
「そんなんだからやられるんだぞ。」と言った。

「戦うなんて…もうあと二年もないんだし…
我慢するしかないんです。」

「それでおまえ本当にいいのか?」

「だって幼稚園からずっとですよ・・・・。
途中何度もそう思ったけど 低抗するともっとひどくなったから
あきらめることにしたんです。」

「俺にはありえない。」

「それは宗方くんが 何でもできて自分に自信があって
プライドもあって…負けないって思えるから。
私には…何もないから…。
絶対に負けるから…闘わない……。」

宗方の呆れた顔が悲しかった。

「だけど 今日は楽しかったな~~。
最後までボールにあたらないなんて
ドッチボールって結構楽しいんだって~~。」

「だろ?
おまえ本当は頑張りたいんじゃないか?
負けたくないって思ってるんじゃないか?」

「あ もういいですから。
カップケーキ食べてください。」

話題を変えるしかもう
方法はなかった。