一途愛

ついてないことに今日は体育があった。
それもドッチボール


私は闘わないからすぐに外野になるけど

狙われる時は容赦ないボールが飛んできて…
けっこう青くなったりする。


きっと今日もそうなんだ。


体育着に着替えて体育館に出ると
男子が先に集まっていた。
宗方はその輪から 離れて腕組みをしていた。

その時 宗方の背中に
めがけて鋭いバスケットボールが飛んできて


「あぶない……。」
私は目をつぶった。


振り返った宗方は そのボールをキャッチして
片手で来た倍のスピードで向こう側の
バスケットゴールにそのまま入れた。

一瞬の静寂


「キャーー」女子の黄色い歓声

私も思わず心の中で拍手喝采していた。

バカ男子たちは悔しそうにしてて気持ちがよかった。


いいな 宗方は強くて…何でもできるんだ。

私にもあの強さと 自信があったら
こんなやつらにずっといじめられることもないんだろうな。


私はやっぱり…いくじなしの弱虫の
何の取り柄もない…いじめられるために生れてきた
運命なのかもしれない。


「一番先は 大関姫だね~~。
大関姫を殺したら アイスおごりね~~。」
美里がそう言いながらボールを高くあげた。