一途愛

「え?」

「下の名前で呼ぶのは 特別な女って決めてるから。
ちょっと大関 数学の教科書見せて。」

私はいきなり 会話を振られて慌ててカバンをまさぐった。

「カラオケは?」美里の顔が見ものだったけど
なるべく見ないようにしていた。

「おまえさ もっと早く学校来いや。
宿題やる時間がないんだって。あ……俺のこと
全然誘わなくていい 気を使うな。」


そう言うと宿題をスラスラとやりだして
私は驚いた。

昨日はただ黒板だけ見てたよね……。


美里は鬼のような顔をして 私を睨みつけて
席に戻っていって取り巻きの女子に文句を言っていた。

「何それ~~。」

「最悪じゃん カッコイイと思ってさ~~。」

ブーイングの嵐・・・・・

もっとうまく断ればいいのに…

そう思ったけど内心はホッとしていた。


美里に誘われたら うちのバカ男子はホイホイと
ついて行くんだけど


宗方は違うんだなって思った。

あ……だけど
昨日の車の人……あの人がもしかしたら
特別な人なのかもしれない……。


大人の女の人
宗方にべったりくっついていたっけ……。


龍って呼ばせる特別な人って
どんな女の人なんだろう……。