一途愛

「もう立ち直ったよ。いや…やっぱまだ…
ダメかな……。かあちゃん突然だったからさ。
直前に大げんかして『死ね　ばばぁ』って言っちゃったんだ。
すげー後悔してる…。」

宗方の話に思わず目が潤んできた。

「ってか～～～なんでおまえなんかに素直に
喋ってんだ俺。」

「あの…もし　悲しくてどこにも言えない時は
もし…もしも…私でよかったら話てください。
あの…私でよかったらです…けど……。
私…初めてだったんです。
家族以外の人と…それも友達と……こうやって
長い間お話するの……。
お家に行ったり　お部屋に入ったり…それにバイクに
乗せてもらったり……初めてだらけで……すっごくすっごく…
幸せな一日になりました……。
ありがとうございました。」

思わず言いたいことが全部口に出てきた。

宗方は呆気にとられた顔をしている。

恥ずかしかった。


「じゃあ……。」

思わずうちに向かって走りだしていた。

うちまでは一本道


こんな姿学校のやつらにみられたら

「どすこい　どすこい」って言われるけど
でも・・・あんまりにも素直に口から出た言葉が
恥ずかしくて消えてしまいたくなった。


しばらく走って思わず後をふり向くと
宗方がバイクにまたがって手を振っていた。


「やだ…もう…醜い後姿…
ずっと見てたんだ……もう…明日から会えない…。」

バイクの音がして
その音が消えたら　私は深呼吸をした。

　　夢だから…明日からはまた現実に戻るんだ。