一途愛

その時 赤ちゃんがお腹を思いっきり蹴った。

「い…痛い……。」

「どうした?」

「お腹蹴られた。」

「マジ?」

もう会話は充分聞こえる距離だった。

「パパが触ってみたいって……もう一回蹴ってみる?」

少し大きな声で言った。
龍の足が止まったのを確認した。

涙が出そうだった。

ごめんね龍・・・・・。


「蹴らないよ。」綾人も感づいたのか大きな声で言う。

「赤ちゃん パパが蹴ってって。」

その時 また思いっきり蹴られた。

「うわ!!!今 ぼこって・・・マジ・・・
なんかスゲー……。今の 足だよね。」

「いい子だね~~。」

エレベーターを待っていた。


「パパによく似て やんちゃになりそう。」

「俺じゃなくてママにだろ?
いいな~~俺もお腹に欲しいな。」

「また パパはおバカなこと言ってますね。」


綾人の肩に頭を乗せる。


背中は龍を感じて泣いていた。
龍・・・・この子はあなたの子だよ。


「綾人・・・・愛してるよ。」

綾人の頬にキスをした。