一途愛

「それならなおのこと ちゃんとリハビリしないと
奥さんを支えてあげるのは宗方さんの
この手とこの足とこの体なんですよ。」

私は麻痺した手と足をパンパンと叩いた。

「今 やらなくてどうします?
愛する人のために努力する姿を見せてあげてください。」

龍の父親は涙を流した。


「俺・・・・元に戻れるんだろうか。」

「頑張って克服してる人はたくさんいます。
奥さんのためにも 頑張ってください。
宗方さんが守ってあげなきゃ……。」


布団をかぶった龍の父親の体が震えていた。

頑張ってくれるといいけど……。


とにかく大きな仕事を頼まれてしまった。
帰ってからでも連絡してみよう。


もう私はここを辞めるけど
龍の父親は大丈夫かしら……
そんなことを考えていた。


午後 リハビリに行くと言いだしたようで
やる気になってくれたんだと嬉しくなった。


頑張って


大嫌いな人だったけど…
今はそんな気持ちもなくなって応援したいと思った。

ロッカーの荷物をまとめて
少しづつ片付けだしはじめた。
少し 心残りだけど……。