一途愛

「ほら。」
宗方が手を出した。

「え?大丈夫です。降りれます。」

そうは言ったけど 私は究極の運動音痴で
これもバカにされるネタの一つだった。


覚悟を決めてピョンと飛び降りればいいのだけど
なんかそこで着地したら
絶対ねんざとかしそうだと思うと
どうしても勇気が出ない。

かといってこの重い体重を支えてもらうのだけは
ささやかな女の子のプライドが許さない…。


しばらく息を整えてから 死ぬ気で飛び降りた瞬間
宗方が抱きかかえてくれて
静かにアスファルトに着地をした。

「や~~重かったでしょ…。」

私は今度は顔が火のように焼きついた。

宗方には恥ずかしいとこ見せたくないって…
強くそう思っているのはなんでなんだろう。

「俺 力あんだよ。
俺のかあちゃんはおまえより三倍太ってっからな。」

「おかあさん さっきのどっちの人?」

「かあちゃんは…死んじゃったんだ。」

「・・・・あ・・・・・。」

私は申し訳ないことを言ったと後悔した。

「ごめんなさい。」

「なんで謝んだよ。」

「だって…悲しいこと思い出させちゃった…。」

なんだか自分が激しく落ち込んだ。