一途愛

「他の奴らは信用できない。
今回のことで　俺が死ななかったのを残念がってる奴らが
たくさんいるからな。」

「そんな……卑屈ですね。」

あまり真剣にとらないようにした。


「ほんとだって。」

「そうですか。わかりましたよ。」

「真面目に聞いてくれよ。」

「卑屈病って　気持ちでどんどん落ちこみますからね。
人を信じられなくなるんです。だから
反対に誰にも信じてもらえない。」


「あははは・・・・相変わらず辛口だな。」

「奥さんに何て言えばいいですか？」


結局伝言を頼まれてしまった。
だけど以外だった。

あの人が奥さんに　愛してるって言ってくれって
言ったのには驚いた。

「宗方さんもそんなこと言うんですね。」

「あいつ不安がるんだ。
伊織が言ったように　罰があたったって…
怯えてて…俺もいつか自分をまた捨てるんだって…
そう思ってる。
龍たちの母親にも…今　思えばひどいことをしてきた。
全部俺のせいだ。
罰を受けるのは　俺なのに…な。」


「奥さん病気なんですか？」

「白血病なんだ。」

「そうですか。大変な病気ですね。」

「それなのに俺までこんな病気になって……。」


さすがに気の毒に思えてきた。
いろんな事情をそれぞれが抱えている。

世の中悪い人なんて一人もいないのかもしれない。