運ばれてきた患者が 宗方…龍の父親だというのは
すぐにわかった。

軽い脳梗塞 幸い周りに人がいたこともあって
命には別条はなかった。
ただ 右手右足に麻痺が残ってしまった。

次に出勤した時の申し送りでは 龍の父親が
反抗的だということだった。
今日は私が担当だった。
さて・・・あの父親は私の事おぼえているだろうか。


「宗方さん おはようございま~す。」

あっちの方を見てる。

「お食事とれましたか?」

脈をとろうとしたら 払われた。

「やめろ。」言葉はそんなに不自由さを感じない。

「仕事ですから。」私の言葉にやっと顔を向けた。

「ん?」一瞬顔を見て ネームを確認してる。

「大関?聞いたことあるな。」

「そうですか?」私はかまわず脈をとりなおす。


「まさか・・・・・あの・・・・。」

「はい そのまさかです。」

「看護師さんになってたのか。」

「はい。」

「少しみられるようになったな。」

相変わらずの減らず口・・・・。

「ありがとうございま~~す。」わざとに明るく答える。

「もっと美人いないのか。」

「それだけ言えれば大したものですね。」

体温計を脇の下につっこんだ。