簡単なものだったけど龍はとても喜んだ。

「美味い~~めっちゃ美味い~~。」

龍を見てるだけでお腹いっぱいだよ。
もし 私たちの道がひとつになったら こんな毎日なんだろうな。

想像すると悲しくなる。

「龍もお酒飲んだら?ここからならタクシーでも
帰れるし 心配しないで。」

私にお酒を勧める龍にそう言った。

「送って行く。」

「じゃあ 私も飲まないよ。」

窓から見える夜景がきれいだった。


「札幌勤務になったのね。」

「うん。こっちはいいね。」

「そう?冬なんてもうやだけど。」

「俺にはここが天国だからさ。姫と出会えた。
季節は今でも頭の中流れてるよ。」

「私もよ。」

「こんなに…こんなに愛おしくて…たまらないのに…
俺は今 その想いと反対のこと言おうとしてる。」

とうとう宣告の時がきた・・・・。
私は大きく息を吐いた。

「もう自由になって 姫・・・・。」

体の底から吐き出すような声だった。

「これ以上…俺に関わっても
その先の未来は…ない……。
何も与えてやれない。」


龍の声が震えている。