勤務を終えて真っ赤に腫れた目を隠そうと
したを向いて歩いていると


「姫・・・・。」と呼ばれた。
なつかしいその声が誰なのかは すぐにわかった。

「ひさしぶりだな。」

タイミングが悪い
こんなに泣きはらした顔で何年ぶりの再会だろう。

「龍・・・・。元気だった?」

顔をあげられない。

「うん。姫 顔あげろよ。」

「ひどい顔してんの。どうしてこんな時に声かけんの?
もっともっと龍がビックリするような
再会をしたかったのに……。」

「ずっと見てた。俺 そこの待合室にいたから。」

「え・・・・。最悪・・・・。
そうなんだ。よくしてくれてた患者さんが
亡くなって……。」

「うん 家族の人たちがさ
姫のこと褒めてたよ。俺も嬉しくなった。」


涙で曇る目で龍の足元から 視線を上に移動した。


愛しい人がそこにいた。


「頑張ってるな。」笑顔。


目から数滴の涙が零れ落ちたけど
必死で笑顔をつくった。


「負けてられないもの。」

このまま時間が止まってくれたらいいのに・・・・。
そうしたら私は この胸に飛び込んで
思いっきり泣いて甘えられる。