「じいちゃんは?」

「ちょうど 俺も会議で一緒だったから。
もう親父も年だしな。疲れてたんじゃないのか。
なかなか引退したくせに 口出してるから……
この際 手を引いてもらおうと思ってるんだ。」

「じいちゃんの会社だろ?
あんたが頼りないから 引退できないって 簡単な
話じゃないのか?」

「何?生意気なこと言って。
ま いい・・・・。進路のこともあるしな。
おまえには大学出たらすぐに うちに入ってもらうことにしてるから。
進学先も外国の大学ってことで 英語力磨いて
世界の経営学なんかも勉強してもらえればいいからな。
幸い 学校の成績もいいらしいし…
英語も昔は結構達者だったし……これから担任のところに行って
三年になったら 留学させるってことで話てくる。」


何言ってやんの?
頭が音をたてている。

「俺はいかない。大学もこっちの教育大学行って
先生になる。もう決めた。」

「先生?そんなことやってどうするんだ?
一番面倒な仕事だろ?おまえにはこの会社があるんだ。
長男だしあたりまえだろ。」

「長男?別にあんた俺を育てたわけじゃないだろ?
俺はかあさんに育てられたんだ。
小さい頃からあんたはうちにいなかっただろ?」

「おまえのかあさんとは 合わなかった。
見てるだけでイライラして安らがなかった。」

「じゃあ なんで結婚したんだ?」

「伊織ができて 別れられなくなったから。」


龍の顔が真っ赤になってきた。


お手伝いさんが私の肩をたたいて
ジュースを進めてくれた。