一途愛

「もういい加減に機嫌直せよ。」

龍が後をふり向く。

「別に・・・機嫌悪くないもん。」

ため息をついて龍が手をひっぱった。
仕方がないから手をつなぐ。


龍と一緒に歩くと いろんな視線を感じた。

いつもと違う
バカにされた視線じゃなくて
一目おかれた視線


気持ちよかった。
やっと龍と対等になれた気がした。


「めっちゃ 素敵なカップルじゃん。」

中学生っぽいグループが言った。
ほらやっぱ悪くないんだよ。


今まで
どうしてあんな女と付き合ってんだとか
男趣味悪いとか
ないものねだりだねとか

さんざんバカにされたから今日は最高にいい気分。


キレイになれる自信をもらったから。

「もう…あんまり時間ないな。
姫んち門限何時だったっけ?」

「9時まで帰るって言ったけど。」

「ふ~~ん・・・・。
じゃあ少し遠回りして送っていくか。」

もう帰らないといけないんだ。
今会ったばっかりなのに……


「なんか 姫じゃない子と一緒にいるみたいで
落ち着かないな。」

龍がつぶやいた。

「姫は姫だもん。」

龍の腕につかまって歩く。
今日は 恥ずかしいことなんかない
人の視線も 気持ちがよかった。