一途愛

校門を出たところでやっと龍の足が止まった。

「おまえさ 堂々とせや!!」
一喝入れられて 唖然とした。


「だって……龍が言っちゃうから悪いじゃん。」

「腹立つからよ。バカにされててずっと頭に来てた。
傍観者になるのが苦痛だった。ずっとずっと我慢してた。」


龍の言葉に胸が痛んだ。


「そうだったんだ。我慢してたんだ。
めんどくさいよね 私みたいな人間・・・・・。
キレイでみんなから好かれる子なら そんな
イヤな思いしなくてよかったもんね。」

「昨日からさ おまえ何言ってんの?
何でそんなに訳わかんない話になるの?」

「龍には…龍にはわかんないよ。」

「何がよ?わからんと思うなら説明すれや!!」


龍の目がキレはじめてる。
初めてだった。
こんな目で見られるの・・・・・。

「だって…だって…龍みたいに何でも完璧な人に
いじめられてバカにされてきた私の気持ちなんて
わかるはずないじゃない。
信じらんないほど卑屈なんだもん。
不安なんだもん。信じたくても信じらんないだもん。」


「じゃあさ…どうしたらわかるのよ。
俺 俺なりに精一杯わかってもらおうって努力してるし。」

「ほら努力とか言って…
結局…無理してるんじゃない?」

自分で自分の言いたいこともわからない
だけどだけど……


「好きだから無理すんだろ?
一緒にいたいから 我慢するんだろ?」

龍の低い声に身がすくんだ。