「龍ってもてたんだってね。」


行きの汽車の中での会話


「え?」

「今も充分モテモテだけど。」

「あはは・・・幼稚園の時から チョコは
かなりもらったな~~。幼稚園の頃は王子って言われてた。」

「王子?」

「さまもついてるぞ。」

「今の怖い顔から想像もつかないよ。」

「昔は穏やかでさわやかな少年だったんだって。」

「全然想像つかない。
でも今も・・・・・かっこいいよ。」

耳元で囁いた。

「素直だね~~。」

私は龍の口に チョコを入れた。


楽しい汽車の旅

龍の友達に
自信持って ニッコリ挨拶しよう。


つながれた手が心地よい……。
うとうとと眠くなる。

大事な時間なのに……めっちゃ眠い……。


ガタン と音がして目が開いた。

ふと見上げると龍の顔が険しく見えた。
一人の龍はいつも こんな顔をしてる。

どれが本当の龍なの?
私と居る時は・・・・もしかしたら無理してたりしてないのかな。


龍のそんな顔見てると
私まで悲しくなる……。

龍は大きなため息をつきながら首を回した。