一途愛

「ダイエットしてるから もう少ししたら
ここなくなるから。」

恥ずかしくて言ってしまった。

「なんで?俺は今のままでいいのに。」

「嘘…。こんなデブス…本当はイヤでしょ?」

自分のことを言うのは情けないことね。

「俺はもう外見とか…そういう領域じゃねーよ。
姫がいいんだって。姫がいいから
今のままでいいんだよ。
たださ 姫が今の状況から前を向きたいなら
変わることもしかたねーけど
俺は…姫だから好きなの。」

龍があっさりとそんなこと
言ってくれるとは思ってなかったから
恥ずかしくて頬が熱い。

「クク…りんごちゃんも可愛い。
大好物だし~~。」

龍は体勢を変えて私の頬に自分のつめたい頬をくっつけた。


「あったかい~~。
かあさんに小さい頃いっつもこうしてもらった。
かあさんも姫みたいにあったかくて
姫の三倍柔らかかったな~~。
ねえちゃんに マザコンってバカにされたけど
そんでも寒い時はかあさんにふっついて…。」

龍が笑った。

「でもさ心残りなのは あっつい日
かあさんが 冷やして~~って言ったのに
完全拒否してさ…。いや年頃だしさ。いつまでも
マザーではいられねーし…、
あんときのかあさんの顔まだ覚えてるな。
あんなこと言わなきゃよかったって…。」

「なんて言っちゃったの?」

「暑苦しくて気持ちわり―んだよって。
さんざんあっためてもらったのにな。
それからかあさんとふざけ合うこともできなくなった。
んで…反抗して反抗して
かあさん…死んじゃった…。」

龍……。


私は龍の冷たい頬を早く温めてあげたいって思った。