授業が終わったらさっそく嫌がらせが始まった。
今度は美里に片想いのリーダ的存在の柴田が
私の机を蹴り飛ばした。

その音にクラス中が 振り返る。

「大関姫 なんか今日ってどーしたん?
すげー調子にのってんな。脱おかっぱして頭おかしくなったんか?」

ドス聞いた声。


さすがに男にこられたら 私だって怖かった。

迫力が違うもの。


「机 直せや。」龍の地を這うような静かな声がした。

龍の机もさっきの勢いで曲がっていた。

「てめーも調子こいてんだよ。」
柴田は私の前から龍の前に移動した。

龍は腕組してながらものすごい目で柴田を睨みつけた。
さすがに私まで怖くなる。

違う龍がそこにいる。


「直せや カス。」

「やるのか コラ!!」柴田の声も興奮でかすれた。

「言っとくけどな おまえ俺とやったってバタクソだから
素直に机を直した方がいいぞ。」

顎を少しあげて 柴田をものすごい目で睨んでいる。

「な……てめーになんてな…!!」
もう一度柴田が 龍の机を蹴り飛ばして 机がひっくり返った。

静かに龍が立ちあがったから柴田は体勢を整える。
緊張で胸が痛くなった。

龍の迫力はもう柴田と争わずとも
はっきり柴田の負けを思わせた。

龍はゆっくり柴田の席に行くと 柴田のカバンを
気が狂ったように蹴り続ける。
その様子がハンパなくて柴田を始め 教室中が凍りついた。

ボロボロになった可哀そうな柴田のバックが
とても気の毒に転がっていたけど柴田は黙って席に戻る。

龍をこれ以上怒らせたらヤバイって…
そう思わせるほどの迫力だった。